見捨てられたはずなのに、赤ちゃんごとエリート御曹司に娶られました
今でも和哉さんが好きだ。あの頃のように、また足並みを揃えて歩きたい。
けれど、和哉さんの両親から私との結婚をよく思われていないとはっきりわかってしまった今、その一歩は踏み出せない。
何気なく、バッグの中に入れてあったスマホを取り出し、「あっ」と呟く。
気づかなかったが、十五分ほど前に圭人から着信と、メッセージも届いていた。
「無事帰宅しました」というひと言に安堵し、可愛らしいライオンのぬいぐるみを抱っこし満面の笑みを浮かべている勇哉の写真に思わず笑みを浮かべる。
そして、「姉ちゃんはあとどれくらいで帰れそう? 家にママがいないって勇哉がちょっぴり寂しがってるんだけど」と伝えられた現状に、可哀想なことしちゃったなと表情を曇らせる。
「あと少ししたら家に帰ります。勇哉のことよろしくね」と圭人にメッセージを送って、スマホをバッグに戻すと、和哉さんと目があった。
「弟からメッセージが届いてて」
「……そっか。そろそろ帰った方が良いなら、そうするけど」
「う、うん。それじゃあそろそろ……帰ろうかな」
勇哉が寂しがって泣いているかもしれない。