見捨てられたはずなのに、赤ちゃんごとエリート御曹司に娶られました
和哉さんを見たらこうなるだろうなと思っていたけれど、やっぱり母も弟も圧倒されたらしく言葉を無くしている。
ただ父だけは、表情ひとつ変えぬままじっと和哉さんを見つめている。
先に腕を解いたのは母だった。
「……道理で勇ちゃんがカッコいいわけだ。納得だわ」
和哉さんに対してぽやんと頬を染め、母は乙女の顔になっている。
「……勇ちゃん?」
母の言葉に反応して、和哉さんが私に小声で問いかけた瞬間、突然圭人が和哉さんの胸ぐらを乱暴に掴み上げた。
「どうも初めまして。弟の圭人です。八木沢さん、今さら姉ちゃんの前に現れて、なんのご用でしょうか?」
「ちょっとやめて、これにはいろいろと理由があって」
「どんな理由だよ。責任も取らずに、許せないだろ。同じ男として最悪だ」
和哉さんから圭人を引き離すことには成功したものの、圭人は私を突き飛ばし、再び和哉さんに向かっていく。
怒りに満ちた顔で圭人が拳を振り上げ、和哉さんに殴りかかった。
思わず小さく悲鳴をあげたが、次に続いたのは殴打音ではなく、和哉さんの「すまない」という謝罪の言葉だった。