まだ、青く。
「それ、飲んでいい。近所からもらいすぎて余ってるからいくらでも好きなだけ」

「そ、そそ、そう言われても...」

「これから長いこと話すことになるだろうし」

「...えっ?」


真横を向くと志島くんも私を見ていた。

視線がぶつかりあって火の粉が飛び散って見えた。


「話してくれないか?その...君がキビをここに連れて来られた理由。それと...俺の名前が分かる本当の理由」

「いや、でも、それは...」

「まさか、心が読める、とか?」

「...えっと、まぁ、そんな感じで」


って、私何で話しちゃってるの?

これは私のトップシークレットなのに。

誰にも明かさないって決めたはずなのに。

焦りからか手に汗がじわじわと出現してきた。


落ち着け、私。

しっかりしろ、私。


そう心で唱えても何も変わらなかった。

焦るばかりで汗ばかりで。

とりあえずハンカチを取り出し、両手で強く握った。

すると、そんな私を見かねてか志島くんが口を開いた。


「なんか...悪かった。急に聞いて」

「あ、いえ、その...」

「怪我の手当ても済んだことだし、帰るよな普通。探るようなことして...ほんとごめん。途中まで送ってくよ」


志島くんはそう言うと冷蔵庫から缶を3本持ってきた。


「こればかりで申し訳ないけど、キビを助けてくれたお礼。じゃあ...行こう」
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