まだ、青く。
本当に長いこと話した。

時計を気にする余裕も無いほどに真剣に自分のことを切々と語った。

それは17年の人生の中で

初めてのことだった。

私の拙い話に耳を傾け、うんうんと頷いてくれていた志島くんは言葉の波が落ち着いた時を見計らい、口を開いた。


「つまり、君は名前に触れた生き物であれば気持ちが分かるってことだよね?」

「はい、そうです」

「それと無意識に他人の会話が可視化されることもある」

「はい...」

「"周囲に敏感な人"なんだね」

「はい。その代わり自分のことは1割...いや、それ以下しか分からないのかもしれません...」


話したら幾分すっきりするかと思ったけど、自分のことが分からないという現実だけは払いようにも払いきれなかった。

真っ黒く胸にもやがかかったまま。

その黒に飲まれそうになって俯いていると声がかかった。


「話してくれてありがとう。なんていうかその...君にとっては辛いことなのかもしれないけど、キビみたいに救われる生き物もいるからさ。だから...自信を持ってほしい。なんて、偉そうに俺が言えることじゃないけど...」


自信を持ってほしい...。


その一言が胸の奥深くにグサリと突き刺さった。

この人の言葉には私を突き動かす何かがある。

魔法にかかったみたいにふわふわとした気持ちになり、次第に輪郭を帯びてくる。

今まで感じたことのなかった気持ちや思いが私に熱を与えた。

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