まだ、青く。
「そういえばこんな長々と話しておいて自己紹介がまだだった。一応改めて...志島凪です。制服で分かると思うけど、出海(いずみ)高校の2年です」

「わ、私もです。私も出海の2年です。2組なんですけど...会わなかったということは、1組ですか?」

「そう」


県の中心から離れた町の小さな学校だから2クラスしかないというのに顔も知らなかったとは...。

私は今までどれだけ俯いて生きて来たのだろうか。

こんな自分が情けなくなる。


「で...名前は?」

「あっ、すみません。私名乗らずに今まで...。本当にごめんなさい」

「いや、大丈夫。聞かなかった俺も悪いから」

「で、でででも...」


と私がもごもごと口ごもり、1人であたふたしていると


「ぷふっ」


志島くんが吹き出した。

さっきまでずっと顔色1つ変えず冷静に話を聞いていた人が突然に...。

びっくりした。

でも、それ以上に驚いたのは...

その笑顔のカッコ良さと可愛さだった。

見ていると胸がなんだかざわざわする。

さざ波が立ち、繊細な模様を作り、

心の水面を静かに揺らす。

なんだか今日は...

自分が自分じゃないみたい。

いつもより何十倍、何百倍も

自分の心の動きを感じている。


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