まだ、青く。
「あっ、あの...名前...」

「ごめん。笑っちゃった」

「それは良いんですけど...。あの...私は夏目鈴(りん)と申します。りんの漢字は鈴です。鈴の音読みの、りんです」

「丁寧にどうも。それと...今日は本当にありがとう」

「こっ、こちらこそです。話を聞いて頂けて、だいぶ楽になりました。ありがとうございます」


私の言葉に志島くんは鼻の下を擦った。

きっと照れてるんだ。

見た目がスマート過ぎて近寄りがたい感じだったけど、意外と中身はフランクで安心した。

これからも仲良くしてもらえるかな。

なんて淡い期待をしつつちらっと掛け時計を見ると......


「あっ!」


とんでもない時間になっていた。


「はっ、8時20分前...!どどど、どうしよう...。いや、どうしようじゃない。早く帰らないと...。あの、私は門限があるのでこれで失礼します」


手紙を入れてきたお気に入りのバッグを手に持ち、私はダッシュで玄関に向かった。

大好き過ぎプラス足の成長が止まってしまったという理由で小6の頃から履いている馴染みのスニーカーを履く。

これで準備オッケー。

あとは全力ダッシュのみ。


「では、私はこれで...」


と、その時だった。


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