まだ、青く。
「はいこれ」
「えっ?」
志島くんに渡されたのは黒い球体だった。
志島くんもスニーカーに手をかける。
爪先をトントンし、慣れた手つきで壁にかかっていた鍵を取る。
「チャリで行った方が早い。道案内頼む」
「えっ?えっ?!」
そ、そそ、そっか。
自転車の方が速い、か...。
でも、2人乗りって...
危険じゃないですか?
ご丁寧にヘルメットは渡してくれたけど、それでも怖いよ。
いや、待って。
そもそも私重いから2人乗りしてもそんな早く走れないんじゃ...。
あわあわしていると志島くんが右腕を掴んだ。
「門限守らないと」
「あっ...はいっ」
私は覚悟を決め、唯一の安全装置であるヘルメットを装着し、志島くんの後ろに飛び乗った。
うわぁ、なんだろ、これ...。
良く分からないけど、
いつもと違う気持ちがする。
顔が火照って熱い。
それになんだかむず痒い。
「腰に腕回して」
「えっ?い、いや、でも...」
男子の腰って...
いや、ダメダメダメダメ!
と躊躇していると、あっさり腕を奪われ、自動的にポジショニングされた。
「じゃあ出発」
もはや道案内どころじゃない。
汗がダラダラと額や首から流れ落ちる。
それに手汗がびっしょり。
絞ったら滴り落ちそうなほど。
このまま坂の中腹の我が家まで、私の心臓は持つのだろうか。
そんな心配ばかりをしていたら、いつもは嫌になるほど感じる、潮風が頬に当たる痛みやしょっぱさを忘れられたのだった。
「えっ?」
志島くんに渡されたのは黒い球体だった。
志島くんもスニーカーに手をかける。
爪先をトントンし、慣れた手つきで壁にかかっていた鍵を取る。
「チャリで行った方が早い。道案内頼む」
「えっ?えっ?!」
そ、そそ、そっか。
自転車の方が速い、か...。
でも、2人乗りって...
危険じゃないですか?
ご丁寧にヘルメットは渡してくれたけど、それでも怖いよ。
いや、待って。
そもそも私重いから2人乗りしてもそんな早く走れないんじゃ...。
あわあわしていると志島くんが右腕を掴んだ。
「門限守らないと」
「あっ...はいっ」
私は覚悟を決め、唯一の安全装置であるヘルメットを装着し、志島くんの後ろに飛び乗った。
うわぁ、なんだろ、これ...。
良く分からないけど、
いつもと違う気持ちがする。
顔が火照って熱い。
それになんだかむず痒い。
「腰に腕回して」
「えっ?い、いや、でも...」
男子の腰って...
いや、ダメダメダメダメ!
と躊躇していると、あっさり腕を奪われ、自動的にポジショニングされた。
「じゃあ出発」
もはや道案内どころじゃない。
汗がダラダラと額や首から流れ落ちる。
それに手汗がびっしょり。
絞ったら滴り落ちそうなほど。
このまま坂の中腹の我が家まで、私の心臓は持つのだろうか。
そんな心配ばかりをしていたら、いつもは嫌になるほど感じる、潮風が頬に当たる痛みやしょっぱさを忘れられたのだった。