まだ、青く。
「そういうところを明確にしないと不安にさせるって学習したので」


視線を感じ、私は咄嗟に顔を向けた。

凪くんは私を見て、また意味深に笑みをこぼした。


「支度出来たらこっち手伝ってもらえると助かる」


あ、そういうことか。

なら...


「はい。着替えたらすぐお手伝いします」

「ありがと」


その言葉で私の胸の靄は雲散霧消した。

代わりに生暖かなほわほわとした水蒸気が胸を覆った。

胸の深淵に溜まり続けている淡いピンク色はもう半分くらいまでたまってしまった。

正体不明の感情の数々を私はこれからも知って覚えて名付けて行くのだろう。

その道のりに凪くんがいる。

それだけでなぜか呼吸が出来なくなるくらいに胸が締め付けられ、

たまに弛緩した時に不思議な液体で胸が満たされる。

いつか全て分かる日まで、

私はただひたすらに歩こう。

探そう。

たとえ答えが

海の果てにあったとしても。


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