まだ、青く。
「あの、鈴ちゃん」

「あっ、はい。何でしょう?」


占いの館で占い師として活動することになった私のために潤ちゃんが手作りの衣装を作ってくれるらしく、更衣室で採寸をしていた時のこと。

メモ帳に情報を記入しながら潤ちゃんは話し出した。


「ずっと聞きたかったことがあるんですけど、良いですか?」

「あっ、はい。もちろん」


ずっと聞きたかったことと言えば、やはりあの事しかない。

遂に時が満ちたと私は思った。

遅かれ早かれ訪れることは分かってはいたものの、いざとなると妙に緊張してきて、心臓が飛び跳ねている。

なんなら、口から出てきそう。

私はハンカチをぎゅっと握りしめ、手汗を吸引してもらいながらその時を待った。

全ての採寸が終わり、シャーペンの芯をとんっと机に押し付けてポーチにしまった後、潤ちゃんは口を切った。


「鈴ちゃんですよね?青空ポストの支配人」

「青空ポストの支配人?」


私は聞いたことのない名前にアッと驚き、目を見開いた。

しかも、支配人だなんて、一体どういうことなのだろう。


「この学校の生徒なら1度は耳にしたことがあると思っていたのですが、違っていたんですね。でしたら、わたしが説明します」


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