まだ、青く。
私は首を捻った。

どう思うと言われても、私には感情が見えない。

自分の意思というものが分からない。

見えないし、分からないのであれば、それはもはやないのと一緒。

私はどう思っているのだろう...。

無いものからどんな答えを導き出せば良いのだろう。


「鈴ちゃん?」

「あ、ご、ごめんなさい。公表するかどうかですよね?それだったら...はい、大丈夫です」


大丈夫と言ってしまった。

大丈夫ではないかもしれないというのに。

でも、大丈夫かもしれないから、いっか。

こうなったら良いってことにするしかない。

思い込むしかない。


「良かったです。鈴ちゃんなら、そう言ってくれると思いました。これで鈴ちゃんも有名人です。もっと大々的に活動出来ますよ!本当にこんな人いないんですからね!鈴ちゃんは素晴らしい方なんですよ!」


潤ちゃんが私を誉めてくれていることはヒシヒシと伝わってくる。

手に取るように分かる。

だけど、どうしてだろう。

皆に自分を理解してもらうことは嬉しいことのはずなのに、全然胸がぽかぽかしてこない。

晴れ渡った空に飛んでいく鳥のように足取りは軽やかなはずなのに、

むしろ、なんだかずっしりと重くなった感じがする。

どうして...?

どうして私の胸は

モヤモヤしたままなの?
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