まだ、青く。
皆が帰った後も1人残って練習を続けた。

それでもイメージが浮かぶのはほんの一瞬。

泡のようにすぐにパンッと弾けて見えなくなってしまう。

こんなにも見えないのは初めて。

それに...周りの声も聞こえない。

前よりおとなしくなったのだから、本当は嬉しがらなければならないことなのだろうけれど、でも、今までの感覚との違いに戸惑いを隠せない。

焦りと不安が入り交じって胸を分厚い雲が覆う。

今にも大雨を降らせそうな、ねずみ色の雲...。

払おうとしてもこの量は払いきれない。

吸い取ってくれる何かがあったら良いのに...。

何か私の心を救ってくれるものが

あれば良いのに...。


なんて思いながら立ち上がり、リュックに手をかけた。

と、その時だった。

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