まだ、青く。
凪くんは私の手首から手を離し、変わりに私の両手を包んでくれた。

凪くんの手のひらから伝わる体温が暖かくて優しくて、私の心に提灯の灯りのような淡い色の光が灯った。


「夏目は夏目が出来ることをすれば良い。誰かのために一生懸命に頑張ろうとすると、逆にそれが負担になって周りを見えなくするんだと俺は思う」

「でも、頑張らなきゃ私は...」


凪くんは激しく首を真横に振った。

さっきよりも手を握る力が強くなる。


「周りのことなんてどうでもいい。自分の心が無理だって言ってる時は休めばいい。夏目が分からないなら、俺が夏目の心を読む。夏目は今、すごく疲れてる。だから、無理...しないでほしい」

「凪くん...」


凪くんの手は震えていた。

肩だって小刻みに揺れていた。

握られた手のひらから伝わってくる。

凪くんは今...

悲しいんだ。

苦しいんだ。

痛いんだ。

それは全部...


私のせい。


だから、謝らなきゃ。


「ごめ...」

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