まだ、青く。
「あの」

「あのさ」


ほぼ同時に言の葉が舞った。

パチッとグランドの照明が点いた。

ひゅーっと風が吹いて、高めに結った髪が揺れる。


「俺から言っていい?」


私はこくりと頷いた。

凪くんが1歩2歩と近付く。

私は顔を上げて、

海よりも透明で深いその瞳の奥を

覗き込んだ。


「俺も頑張る、夏目と一緒に」

「えっ...?」

「頑張る力が2倍なら成功する確率も2倍になる。夏目の心は俺がちゃんと見て把握して伝えるようにする。だから...その...一緒に頑張ろう。それと...一緒に楽しもう。せっかくの文化祭なんだし...」


グランドの照明が点いてしまったせいで、凪くんの表情がはっきり見える。

凪くんの頬はりんごのように真っ赤で

耳はほんのり赤く色づいていた。


―― 一緒に頑張る。


その言葉を口にするのに、どれだけの勇気が必要だったのか、それは私にも分かった。

凪くんの思いに応えたい。

私も一緒に...

頑張りたい。

1人じゃないから、出来る。

凪くんと一緒なら、出来る。


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