まだ、青く。
私はその後、母と久しぶりにお昼を囲んだ。

母は離乳食で私が好きだったという南瓜を煮物にして出してくれた。

急いで炊いてくれたご飯も、

作り方を教わった流川家の味噌汁も、

ツナともやしの節約炒めも、

全部美味しかった。

母は私と離れてから、しばらく病院に通いながらも近所のスーパーでお惣菜を作るアルバイトをしていたらしい。

そのお陰もあって、母は料理の腕を上げたみたい。

その後は誰かを支えられる仕事に就きたいとヘルパーの資格を取り、今はアパートからほど近い老人ホームで働いている。

母は私と離れ離れになった後も私の成長を見に何度か伊豆に来てくれていたらしい。

私はあまり外に出なかったから、なかなか見かけることはなかったみたいだけど、それでも同じ空気を吸って生きていると感じられるだけで良かったという。

母はずっと遠くて近い場所から私のことを見ていてくれたのだ。

母は私のことも聞いてきた。

友達のこと、

高校の授業のこと、

報道部のこと...。

私が文化祭で占い師をやった時の映像を母は録画してくれていて、私は変な格好の自分と対面することになってしまった。

母も凪くんもクスクス笑っていて恥ずかしかったけど、母は私の頑張りを褒めてくれた。

他愛ない話もたくさんした。

仕事の愚痴もたくさん聞いた。

離れていた時間と距離を感じさせないほど、親子の交流として成立していた。

そして、時計の針はくるくる回り、あっという間におやつの時間になってしまった。

< 247 / 310 >

この作品をシェア

pagetop