まだ、青く。
見慣れたリビングのドアを開けると父と渉が仲良くソファに腰かけて転た寝をしていた。

そんな2人には申し訳ないけど、私には言わなければならないことがある。


「お父さん、渉、起きて。私...帰ってきたよ」


父は眠い目をこすりながらソファの背もたれから離れ、渉は私の声にムクッと反応した。


「鈴、お帰り」

「お帰り。ってか、夜中に勝手に家飛び出すとか反則だから」

「ごめんなさい。気が動転していたとはいえ、とんでもないことをしてしまいました。ご迷惑おかけして本当に...本当にすみません...」


あれほど泣いたというのに、また鼻の奥がツーンとしてきて、瞳の奥がじわじわと熱を持ち始めた。

でも、ここで泣いてしまったら、

私は私のままだ。

ようやく自分が見えてきたのに

弱虫に戻ったら

泣き虫に戻ったら

私は変われない。

強くなるんだ。

昊さんから力をもらったのだから。

この腕では抱えきれないほどの、

この胸には収まりきらないほどの、

大きな大きな力を。

だから、私は...

伝える。

伝えたいことは、

ちゃんと自分の言葉で

伝える。


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