まだ、青く。
人手が2人増えたことで、準備は予定よりも早く終わり、開会式の時を迎えた。

こういう時に指揮を取るのはもちろん、父だ。


「ええ、今日は2人も来てくれてありがとう。潤ちゃん、涼介くん、楽しんで行ってくれ」

『はい』


母は、ちょっとカッコつけ過ぎかなと思っているのか、隣でクスクスと笑っている。

渉はツッコむかどうか迷うような顔を見せたけど、結局飲み込んだ。


「では、これよりクリスマスパーティアンド鈴のバースデーパーティを始めます!カンパーイ!」

『カンパーイ!』


グラスを打ち合う音がひときわ大きく聞こえる。

周りの音が騒音として認識されなくなったのは良かったし、1つ1つの音がメロディのように楽しげに聞こえるのも良いこと。

だけど、周りの声が聞こえなくなったかわりに、私は自分の胸に靄や霧、雲のような不透明な物体が発生することが多くなった。

色づいたはずの心には灰色の分厚い雲がかかっていて鮮やかな心は見えない。

その原因は、確かめなくても...分かる。


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