まだ、青く。
「よ~し、出来た。あとは投函するだけ。あぁでも読めなかったんだ...。また頑張らなきゃだな」


図書館からの帰り道。

一人言を呟いていると、ちりんちりんと後ろから激しくベルが鳴った。

慌てて避けると、今度は脇を通りすぎる時にチッと舌打ちをされた。


「す、すみません...」


蚊の鳴くような声で相手の背中に呟いたけど、おそらく届いていない。

私の声も想いも届かないんだ...。

私の想いが少しなりとも届くのは

手紙にした時、だけ。

感じることが多くて

見えてしまうものが多くて

そのどれもを口にしてしまえば

きっと言葉で溢れ返ってしまう。

この視界は耳を遮断しないと

周りの生き物の声が可視化されて

私の目の前に現れる。

視界に常時マンガのように吹き出しがあることになってしまう。

それが嫌だから、耳をイヤホンで塞ぐ。

夜でなければ黒いサングラスをかける。

そうして全てを感じないようにしている。

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