まだ、青く。
「もしや、凪のお客さんかい?」


嗄れた声が耳を通り抜けた。

私...家、間違えた?

いや、でも、凪って言ったし...。

目を薄めにして背後を見ると、そこには白髪のおじいさんが立っていた。


「あ、えっと、その...わ、私は...」


――ミャーミャーミャー!


私がどもっていると、足元に温もりが訪れた。

この感触、覚えてる。

やっぱり君は助け猫だ。


「キビちゃん久しぶり。元気にしてた?」


首輪のネームプレートに触れると、

"また会えて嬉しい。今日はどんなご用で来たの?"

とキビちゃんは弾んだ声で言ってきた。


「今日はね、ちょっと凪くんに用があって来たの。凪くん、いる?」


"今は...いない。浜に行ったと思う"


「そっか...」


と、項垂れた数秒後にハッとして顔を上げた。

独り言をぶつぶつ呟いている危険人物だと思われたに違いない。

凪くんも家にいないんだし、早く帰らないと。


「す、すみません。私はこれで...」

「ちょっと待ちな」

「あ、えっと...」

「あと少しで戻ってくる。夕飯を一緒に食わんとワシが叱るからのぉ。じゃから、あと10分待ってくれ。その間にワシにもキビの声、聞かせてくれ」


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