まだ、青く。
玄関を出ると、凪くんは庭から自転車を出して来た。


「リュック乗せていいよ」

「ありがとうございます」


私が荷物を乗せ終わると、キーという音を立ててタイヤが回りだした。

凪くんは自転車を押すだけで乗らない。

きっと、話をするためにこうしてくれているのだろう。

ならば...と私は口を切った。


『あの』


また、だ。

あの時と同じように、

またハモった。


「夏目先いいよ」

「あ、うん。えっと、その...単刀直入に聞きます。なんで今日は...その......あんなに鑑先輩に突っ掛かったんですか?もし、何か事情があるなら言って下さい」


凪くんは自転車のブレーキをカチカチと動かした。

何かある。

何かあるから、動作に出る。

それは、兆くんから聞いて学んだ。

話してくれるまで待とう。

私は沈黙を恐れず、ただひたすら坂道を登った。

< 90 / 310 >

この作品をシェア

pagetop