狙われてますっ!
「そうねー。
 なんか企んで、ニタリとか笑ってるところ、渡真利さんに見られたら困るわよねえ」
と言って、輝美は笑っている。

 真琴はそれには反論せずに、手鏡でおのれの顔の左向き、右向きを確認し、

「やっぱ、右に座るわ」
と頷いていた。

 やはり、より顔が整っている方を見せたいようだった。

「大丈夫。
 ニタリは理性で制御してみせるっ」
と真琴は誓っていた。

 コンパって、みんな、いろいろ智略をめぐらしてるんだな~と汐音は感心する。

 それもこれも好意を抱いている人に、ちょっとでも好かれたいがための努力なんだろうと思うと、なんだか可愛らしい。

 ……明日はなに着ていこうかな、と毎度、散々迷ってしまう私のことも、加倉井さんが、ちょっとでも可愛いとか思ってくれるといいんですが。

 そんなことを思いながら、今、右横に座っている渡真利の顔を見る。
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