狙われてますっ!
 渡真利は汐音に横に来られてやりにくそうだった。

 なにかの弾みでいつものように叱ってしまったりしたら、まずいからだろう。

 顔の左側は素直な本音か。

 確かに、迷惑感がダダ漏れている……と汐音が思ったとき、ぼそりと渡真利が呟くのが聞こえてきた。

「……今日は酔わないようにしよう」

 いやいや。
 そもそも、私、渡真利さんが酔ったの、見たことないんですけどね、と思ったが。

 そんな汐音を振り向き、渡真利が釘を刺してくる。

「お前も酔うなよ」

 渡真利が気をつけていても、汐音が失敗しては意味がないからだろう。
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