狙われてますっ!
 ともかく、敷居の高いお店だったら、困るな、と思いながら着いたそこは、レストランというより、豪邸だった。

 車から降りながら、屋敷を見上げ、汐音は訊く。

「此処、レストランなんですか?」

「最近、家ごと借りて、ホームパーティやるのとかあるだろ。
 あんな感じにしたんだよ。

 その方がくつろげるかと思って。

 知り合いのシェフが呼んである」

 そ、そうなんですか……と言う汐音は顔には出さないようにしながらも、その金額に怯え、ぎゅっとバッグを握り締めた。

 中には、汐音にとっては多めだが、たぶん、求にとっては、まったく多くない金額の入ったお財布と、利用限度額が低いままのカードしかない。
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