竜王陛下のもふもふお世話係2~陛下の寵愛はとどまるところを知りません~
 青くなるミレイナの考えていることを悟ったのか、ジェラールが首を振ってみせる。

「恐らく、これはアリスタ国の仕業ではない。ここまでラングール国の奥地に入り込んで罠を仕掛ける意味がない。それに、アリスタ国には多量の魔法燃料を輸出している。十分に足りているはずだ」
「では誰が……」
「わからない。だが、何者かが仕掛けたことは疑いようがないな」

 ジェラールは忌々しげにそう吐き捨てると、その罠に向けて手をかざす。触れることもなく、足に挟まっていた刃がパチンと開いた。

 ぐったりとしていた魔獣は必死に逃げ出そうとしたが、足を怪我したせいで上手く動けないようだった。数歩進んでまた倒れ込む。

[おい、大丈夫かよ]

 シェットが心配そうに声をかける。

[酷い怪我。手当てをしないと。私達と一緒に行きましょう]

 ミレイナは咄嗟にその魔獣を助け起こそうと手を伸ばした。しかし、魔獣は威嚇するように歯を剥き出しにした。

 ──グルルル。

 低い唸り声がした。

 ミレイナはその気迫に驚き、伸ばしかけた手を引っ込める。
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