政略夫婦の懐妊一夜~身ごもったら御曹司に愛し尽くされました~
両親たちとの定例の食事会を恙なく終え、料亭から夏樹の車で自宅へと戻る。
途中、先々月の誕生日に夏樹から貰ったハンドバッグの中で、スマホが鳴った。
取り出してメッセージ画面を確認し、それが久しい相手だったため「わ、美砂だ」と名前を口にする。
「誰だっけそれ」
夏樹はそう言い、彼の誕生日に私が贈った革靴でブレーキを踏み、赤信号の停止線で停まった。
「美砂よ。アメリカに半年留学してた私の友達。帰ってきたみたい。夏樹も私と三人で何度か会ったことあるでしょう」
「覚えてねえな」
夏樹は思い出そうともしない様子で、フロントガラスを見つめている。
「ちょっと。『オトワリゾート』のご令嬢よ。思い出して。恋人の御曹司にくっついて渡米してたんだけど、その人と結婚することになったから戻って来たんですって」
「なんだそりゃ。浮かれとんちきだな」
「もう! 私の友達にそんな言い方しないで」
「しかし、俺とお前の学友はそんなのばっかりだよな。ご令嬢と御曹司。それ同士で結婚。どこも同じってことか」