政略夫婦の懐妊一夜~身ごもったら御曹司に愛し尽くされました~
玄関に入り「ただいま」とふたりで声を揃えた。
返事がなく「帰って来た!」「来たぞ!」というざわつきだけが聞こえ、待ちきれないという空気が廊下の先のリビングから漏れている。
夏樹が抱っこしたままドアを開け、中にいた全員に待ってましたとばかりに立ち上がって出迎えられる。
「戻りました」
「あらまあ~! 七海ちゃん? 赤ちゃんてこんなに小さかったかしらぁ!」
お義母さんの第一声は早産だったから言っているのかとドキマギしたが、次は夏樹の背後にいる私に、優しい視線が向けられる。
「桃香ちゃん大変だったでしょう。でも、七海ちゃんは桃香ちゃんにそっくりの美人さんね! おめでとう!」
「はい。お陰様で無事に産まれました。ありがとうございます」
大人しい自分の台詞に、今は違和感がある。私はお産のときは暴言を吐く女だった。それを知っている夏樹は、芝居臭い私の声に「クックック」と笑みを溢している。