政略夫婦の懐妊一夜~身ごもったら御曹司に愛し尽くされました~
これまでのことを振り返って絞り出した言葉だったのに、夏樹は「はあ?」と一度声を上げ、「そうじゃなくて」とため息をつく。
「謝罪なんか必要ねえよ。それより、お前、いつまで聞かなかったふりしてるんだよ」
「……なにを?」
「俺の告白だよ! 愛してるって言ったろ! イエスかノーか返事くらいしろよ!」
驚きすぎて私はベッドからお尻が落ちそうになり、夏樹なは「危ねえな!」と慌てて抱き止められる。
そのまま離してもらえず、手を握られた。
「な、夏樹……」
夢だと思っていた。たしかに、『愛してる。ずっと俺が守ってやるから』という台詞が、出産のときから頭の中を巡っている。
でも夏樹がそんなことを言うはずない、私が都合よく記憶を捏造したのだと思っていた。
だってそんな、夢みたいな台詞、現実なはずないもの。
「……あ、愛してるって、どういうこと?」
「おい。怒るぞ」
「だって、飯田さんと付き合ってるんじゃないの……?」