政略夫婦の懐妊一夜~身ごもったら御曹司に愛し尽くされました~
夏樹の頭が持ち上がる。
射るような、彼の期待の籠った眼差しが向けられる。
「……え?」
「私が好きじゃない人と、結婚するわけないじゃない」
うれしくて笑顔を浮かべようとすると、胸に込み上げる想いが溢れ、涙になって溢れ落ちた。
「桃香。それって」
「夏樹が好きよ。生まれてから今まで、ずっと。夏樹だけなの」
「なっ……お、お前だってそれは嘘だろ。俺は聞いたんだからな、生徒会のとき。初恋は叶わないから、俺と結婚する、って」
同じ誤解で立ち止まっていた私たちに、思わず笑みが溢れる。
「それ、夏樹のことに決まってるでしょ。バカ」
「……マジで言ってる?」
「本当よ。やだもう。私たちずっと両想いだったなんて。なんだかバカみたい、だってこんなに悩んで、別れまで切り出したのに──」
興奮で言葉が止まらなくなった私の口を、夏樹が塞いだ。
ふいを突かれるキスに胸はキュンと高鳴り、やがて心地よさに溶けていく。
「……桃香っ」
貪るようなキスに変わり、私は苦しくて「んんっ」と声を出してわずかな抵抗をするが、彼の体はびくともしない。