政略夫婦の懐妊一夜~身ごもったら御曹司に愛し尽くされました~
「そうね、夏樹は昔からああいう派手なことをしがちだから……」
「うんうん、昔から桃香に対して愛情深いよね。そういうところ素敵! ねえ、ふたりはいつからお互いを好きになったの?」
「……えっ」
スコーンの甘さが口の中で一気に冷めた。
美砂に会えば昔話をされるとわかってはいたが、いちいち苦しい過去まで思い出してしまう。
私が気持ちをはっきりと自覚したのはファーストキスをしたときで間違いないが、向こうはキスをしたときでさえ、そんな気はなかったはず。
「……うーん、わからないなぁ。聞いたことないから」
嘘だ。聞いたことがないんじゃない。私は知っているのだ。
夏樹には、ほかに好きな人がいた。