政略夫婦の懐妊一夜~身ごもったら御曹司に愛し尽くされました~

──高等部に上がった頃。

女子校のアベリア、男子校の東帝大付属。
ふたつの学校は高等部の生徒会のみ交流があり、それぞれの生徒会のメンバーだった私と夏樹は、定例会議で顔を合わせるようになった。

そこでももちろん、私と夏樹が許嫁であるというのは周知の事実だった。

「夏樹。あのアベリアの美人な子、許嫁なんだっけ? マジで結婚するの?」

「まあな」

ほかのメンバーが帰った後、会議の確認事項を思い出して引き返していた私は、ドアの前で足を止めた。
夏樹と東帝大付属のメンバーの誰かが、私の話をしている。

「いいのか~? これから夏樹にも好きな人ができるかもしれないのに、高校生で結婚なんて決めちゃって」

その通りで、誰かの言葉はグサッと胸に刺さった。余計なことを言って夏樹の判断を鈍らせないでほしい。せっかく私と同じで、結婚するつもりでいてくれているのに。

ハラハラしながら、ドアの隙間を覗き込む。
すると、そのとき見えた夏樹の顔は、これまで見たことがないほど切なく揺れていた。

「……いい。俺の好きな奴は、俺をそういうふうには見ていない。だからもう、結婚でもなんでもしてやるさ」

え?
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