政略夫婦の懐妊一夜~身ごもったら御曹司に愛し尽くされました~
◇ ◇ ◇
美砂と解散し、自宅マンションへ戻った。
夏樹とふたり暮らしの2LDK。どちらにもこだわりはないため家具はモノトーンで、たまに貰い物の花束を花瓶に差して飾っている。
私がアイランドキッチンで料理をし、ダイニングで食事、DVDを見たり話をしてくつろぐのは十五帖のリビング。
しかし寝るときは、しっかり分かれたそれぞれの寝室がある。
夏樹が毎晩子作りで訪ねてくるためあやふやになっているが、寝室を分けることは私のワガママである。
たまに、悲しくてたまらなくなる夜がある。そういうときにひとりになれる場所が必要なのだ。
「ただいま」
「お、おかえり」
今夜はそういう夜になりそうだと予感がしていたとき、ちょうど仕事を終えた夏樹が帰ってきた。
妻の務めは果たさなければと、出迎えて、食事の準備をする。
「おー、今日は見たことない真っ黒な魚だな、メバルか?」
「鯛よ! もう! ちょっと焼きすぎちゃっただけよ、意地悪言わないで」
「ハハハ」
結婚して同居してみて知ったことだが、仕事から帰ってくる夏樹は機嫌がいい。