政略夫婦の懐妊一夜~身ごもったら御曹司に愛し尽くされました~
「おまたせ、夏樹。帰りましょう」
「おう」
高校生になった俺たちは、校外で待ち合わせて一緒に帰宅するようになっていた。
小川が合流するように違和感なく寄り添った歩幅は、乱れずに自宅の方向へと進んでいく。
落ちた青葉が足もとを掠めていき、立ち止まる瞬間まで揃う。視線が合わなくとも、お互いがどんな顔しているか手に取るようにわかる。
進行方向の景色より、隣を歩く桃香に神経が集中する。
桃香は我が許嫁ながら、いつどこを見ても綺麗に整えられた完璧な女だと思う。
だが、隣を歩くだけで俺が満足するなんて思っているなら、大間違いだ。
「……桃香」
足を止めずに、風の音に紛れるようしてつぶやくと、桃香は「なに?」と怪訝に眉間を寄せて聞き返してきた。
声色からこちらの話の内容がまったく想像つかなかったのだろう。俺にしては珍しく、いっさい茶化す気のない真剣な話だった。
「ヤらせてくれよ」