政略夫婦の懐妊一夜~身ごもったら御曹司に愛し尽くされました~
細い音がする風がひとつ俺たちの間を流れていき、桃香は先に足を止める。俺もそれを受けて止まり、一歩前から彼女を振り返る。
桃香の表情を確認して、やはりコイツは俺のことがよくわかっていると感じた。向こうも茶化す気のない瞳を向けていたのだ。
俺を心配するような、あるいはまだ別の本心があると疑っている目だ。
いつもの「バカなこと言わないで!」という売り言葉に買い言葉は、今の俺にはかけるべきではないと理解しているらしい。
「ど、どうして? いきなり……」
「わかるだろ。俺たちもう高二だ。普通なら男はヤりたい盛りなんだよ」
「それはそうかも、しれないけど、だからって私と……」
「お前以外に相手がいるかよ。俺はバカじゃない。今まで桃香に秘密で言い寄ってきたアベリアの女は何人もいるが、それでも許嫁としてお前を裏切らずにきたんだぞ。この俺に童貞を守らせるにも潮時ってものがあるんじゃねえのか」
「わ、わかったから、声を小さくしてってば……!」