政略夫婦の懐妊一夜~身ごもったら御曹司に愛し尽くされました~
不満めいた本心を吐露すると、わざわざ選んで使った直球の言葉に桃香は顔を赤らめ、背けた。しかし代わりに正面にきた耳は真っ赤に染まっている。知らなかった。こういう話題で攻めると、こんな表情をするのか。
言われた通りに声を抑え、一歩近付き、その耳元へ続ける。
「それとも、俺とはできないって言うのか?」
「ち、違う。違うわよ」
即答され、不覚にも胸が鳴った。俺は体の奥が熱くなり始め、前のめりになる。
「将来夏樹と結婚するってどういうことか、私だって理解してる。……覚悟も、してた」
「へえ……? じゃあ、できるってことだな」
「で、でも、不安はあるの。だって……」
桃香の、かすかに涙で揺れる瞳が、俺を捕らえる。
「夏樹は、私でいいの……? 私が相手でも、できるの……?」
何言ってるんだ、コイツ。
見当違いの疑問にピリッと電流が走る。言い出した時点でわかっていたが、俺はもう、今日のこの雰囲気を逃さない。
「……できるよ」
むせ返るほどの好奇心と期待を悟られないよう、挑発的な視線でそう答えた。