政略夫婦の懐妊一夜~身ごもったら御曹司に愛し尽くされました~
食後の〝若者ふたりはお庭を散歩してきたら?〟という毎度やってくるタイミングを見計らい、私は庭園の死角に夏樹を連れ込み、ネクタイを引っ張り引き寄せる。
「なんだよ、奥さん」
「なんだよじゃないわよ。あのね、ああいう恥ずかしいことを両親の前で言わないでくれる?」
ネクタイを握る手は夏樹に簡単にほどかれ、恋人繋ぎで絡め取られる。
「今さらなに言ってんだよ。本当のことだろ? 毎晩毎晩。子作りしてんじゃん俺と」
「好きでしてるんじゃないわよ! 夏樹がしたいって言うからでしょ!?」
「しょうがないだろ、子作りは奥さんとしかできないんだから。俺だって好きでしてるんじゃねーっつーの」
ギリギリと音が立つほど繋いだ手を握りしめながら、私たちは額をくっつけて睨み合う。
夏樹の切れ長で憎たらしい目が至近距離にあり、私はその魅力に耐えきれず先に「フン!」と顔ごと逸らした。