政略夫婦の懐妊一夜~身ごもったら御曹司に愛し尽くされました~

「まったく、なにが不満なんだ。俺よりいい男がいると思うか? 顔も頭も育ちもいい。どんなにツンケンしててかわいくない奥さんでも、大事に扱ってやる優しい夫だ」

そう、私の幼なじみで、許嫁で、今は夫。この男、財前夏樹の本当の姿はこっちだ。

「あら、かわいくなくて悪かったわね。でも私だって理想的な妻を演じてあげてるんだからおあいこよ。夫がとーっても俺様で高慢ちきなお子様でも、しっかり妻としての務めを果たしているんだもの」

「へえ。夜のあれも務め?」

夏樹は建物の外壁に私を追い詰めてくる。
トン、と顔の横の壁に彼の拳がつき、質問とともに体が迫った。

相変わらず、私にこういう態度ばかり取ってくる。はっきり嫌だと思えれば簡単に(かわ)せるはずなのに、夏樹に迫られると、私は窮鼠(きゅうそ)のごとく動けなくなる。

「つ、務めよ」

「そうか? アンアンよがって、毎晩楽しそうなお務めだな」

「よがってないわよ! 変なこと言わないで! 私は両親が孫を見たがっているから、だからしているだけでっ…… 」

「はいはい、じゃあ今日もお務めしてもらうからよろしくな。昨日みたいにびっしゃり濡らして、俺のを奥まで咥え込んでトロトロにしちゃってくれ。頼んだぞ、奥さん」

「なっ……」

あまりに下品な言葉の羅列に、私は開いた口が塞がらないまま夏樹を見た。
庭園に散歩に来た人の声がし、お育ちのいい御曹司の顔に戻った夏樹は「戻ろうか」と作り笑顔で私の手を取る。
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