政略夫婦の懐妊一夜~身ごもったら御曹司に愛し尽くされました~
「泣き虫だな、桃香は」
隣に立たれたかと思うと、次の瞬間には頭を抱き寄せられていた。
いつもの夏樹の爽やかな匂いに頭がボーッとするが、同時に切なくてたまらなくなる。
「大丈夫だって。しっかり安静にしてれば心配ないって先生も言ってただろ」
「うん……」
「俺も週末は毎回通うし、接待がない日は平日も面会に来るから。荷物とか洗濯とかあるだろ?」
「えっ……そんな。大丈夫だよ、荷物はお母さんに頼めるから」
夏樹を心配して言っただけだったが、彼は口をへの字に歪めた。
「お前の荷物はうちにあるんだから俺でいいだろ。俺だって様子を見たいんだ。ここまできて遠慮すんなよ」
必死になる夏樹を見ていると、まるでお腹に彼の人質を抱えているようだ、と感じてしまう。
赤ちゃんを大切にしようとすれば、私もセットでついてくるだけなのだ。