政略夫婦の懐妊一夜~身ごもったら御曹司に愛し尽くされました~

それまで想像していた飯田さんのイメージは、夏樹と仲良く仕事をし、嫉妬の混ざる悪い言葉を使えば「人の旦那に色目を使って距離を詰める女性」だった。

しかし、実物の彼女を見たら、そんなものは吹き飛んだ。
誰がどう見てもとびきりの美人で、仕事ができそうで、芯の強さを感じる。私を見て微かに眉を動かしただけの大人びた雰囲気から、おそらく夏樹に色目を使っているのではなく、夏樹が彼女に憧れているのだと容易にわかった。

ベッドの上で弱った私と、ヒールで立つグレーのパンツスーツの彼女は、まるで女としての強さを対比されているようだ。

「はじめまして……お世話になっています、妻の桃香です。あの、夏樹に頼まれた、って、なんのことですか?」

「課長は急な来客が入ってしまいこちらに来れませんので、私が奥さまにお着替えをお持ちしました」

彼女の背に隠れて見えなかったが、肩にかけていたらしい黒のボストンバッグを棚の上に置かれ、私は目を見開いた。

いつも夏樹が着替えを入れて持ってきてくれるバッグだ。
嘘でしょう。夏樹が、飯田さんに頼んだって言うの?

どうして?
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