政略夫婦の懐妊一夜~身ごもったら御曹司に愛し尽くされました~
「……あ、りがとう、ございます」
動揺しすぎて、うまく声が出せない。荷物を持ってきてくれたのだから、きちんと笑って受け答えをしなければ。
飯田さんは、私の目を見つめながら、今度は眉尻を下げる。
「このような形で私に持って行かせるのはやめて下さいと課長にお伝えしたんですが、着替えがないと困るだろうからどうしても、と言われまして。なんだか申し訳ありません」
「……え?」
「嫌ですよね。私のような者に着替えを持って来られるのは。奥さまも」
な、なに。どういう意味。
「……そんなこと、ないですよ。助かりました」
「ちなみに課長からは洗濯物を預かってくるようにも言われているのですが、どうしますか。お預かりします?」
差し出された綺麗な手は、簡易チェストの上に置かれたビニール袋を示していた。私の着た下着やパジャマが入っている。
嫌だ。こんなものを、飯田さんに持たせたくない。
なんでそんなことを頼むの、夏樹。
どうして自分の好きな人を、私とふたりきりで会わせようとするの?