政略夫婦の懐妊一夜~身ごもったら御曹司に愛し尽くされました~


私は心が空っぽになったまま、入院生活を続けていた。

あれからさらに数日が過ぎ、現在、三十四週。やっと決心が着いた。

母になれば強くなれるなど迷信で、目前に迫る別れは、強さなどではとてもかき消すことができない。

【もうすぐ着くから】

夏樹から来たメッセージに目を落とし、震える指先で【待ってる】と返事を送った。

まるで体の内側がえぐられるように、ズキズキと痛む。決意した朝から、ずっとこうだ。

生まれてからずっと一緒だった。
大好きな夏樹と、今日、サヨナラをする。

その後のことはまったく想像がついていない。

もうすぐ産まれるこの子はどうなるのだろう。手離すなんて私は絶対にできないが、かといって、夏樹から引き離すこともしたくない。
それでも、どちらかを選ばなければならないのだ。

こんな重く苦しい決断を迫られる日が来るなんて思っていなかった。
この子にも夏樹にも、両家の両親にも、すべてに申し訳なく、そして悲しい。

私が我慢すれば家族でいられる。今まで何度もそう思い止まったが、どうしても、無理だった。
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