政略夫婦の懐妊一夜~身ごもったら御曹司に愛し尽くされました~

夏樹もこの調子でもう四時間は私に怒鳴られているため、ときに「うるせえなっ」と口の悪さが露呈し、助産師さんを苦笑いをさせる始末だ。

「ハァッ……ハァッ……」

「おう、がんばれ桃香」

「もうがんばってるわよっ! うるさいっ! 黙ってて!」

受け止めてくれる彼に甘え、私は好き勝手に暴言を吐き続ける。
私はおしとやかなご令嬢などではなくて、喧嘩腰でツンケンした、短期な女だ。それを知っているのは夏樹だけ。

幼なじみだった彼とはいつもこうだった。自分をさらけ出せて安心できた。今も、そばにいてくれるのが夏樹だから、ありのままの自分でいられる。

「ほら、そばにいるからがんばれ」

「バカ! 夏樹のバカ! いなくていいわよ!
夏樹は産まないくせにぃ! 」

「そう言うなよ。奥さん」

労りながら目を細める夏樹の表情に、この人が永遠に私の旦那さんでいてくれたらどんなにいいか、と胸が切なく高鳴った。

夏樹が好きだ。本当は家族でいたい。
私にしか見せない、意地悪で気の強い彼に、ずっとそばにいてほしい。
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