【受賞&書籍化】高嶺の花扱いされる悪役令嬢ですが、本音はめちゃくちゃ恋したい
(――び、びっくりしたわ)
市民に手を振ってカーテンを閉じたマリアは、真っ赤な顔で息をついた。
外に人の気配を感じて目が覚めて、夢うつつに寝台を下りてカーテンを開けたら、庭園観覧の市民に見つかってしまった。
化粧も着替えもしてない状態だが、うろたえて引っ込むよりはマシだろうと、その場で手を振った。
幸いにも、距離が遠かったので寝起きだとは気づかれなかったようだ。
振り向くと、天蓋のかかった豪華な寝台ではレイノルドが健やかに眠っている。
ここは王太子夫妻の寝室だ。
結婚式以降、マリアとレイノルドは逢えなかった時間を埋めるように、くっついて眠っていた。
マリアは寝台に腰かけて、レイノルドの寝顔を見つめる。
艶やかな長いまつ毛も、わずかに染まった白い頬も、すうすうと響く寝息の音も、すべてが愛しくてたまらない。
国王陛下の御前での大告白や、婚約や結婚式の準備をしている間、大聖堂で愛を誓いあった瞬間も喜びを感じたけれど、レイノルドと結ばれたと心から安心できるようになったのは、共寝をするようになってからだ。
(大の男性に言うことではないけれど、かわいい寝顔だわ)
幸せにひたりながら髪を撫でると、レイノルドは「んん」と声をもらした。
「……マリアヴェーラ?」
ゆっくりとまぶたが開き、青い瞳がマリアを捉える。
「起こして申し訳ありません。まだ起きるには早いですわ」
マリアはサイドテーブルに置いてある金のベルを見た。
起床のベルを鳴らしたら、待機している侍女や側近が朝の支度をしにやってくる。
二人の時間は強制終了だ。
朝食をともにした後は、レイノルドは仕事へ、マリアも妃の務めをこなし、夜まで離れ離れになる。
「そうか……」
低い声でつぶやいたレイノルドは、腕を伸ばしてマリアを引き寄せた。
「きゃっ?」
いきなりだったので小さな悲鳴が漏れた。
レイノルドは、自分の上に乗っかるマリアを、大事そうに両腕で抱きしめる。
「もう少し、一緒にいろ……」
かすれた声と頬をすり寄せる仕草は、大型犬が甘えてくるようで。
(かわいい……!)
マリアの胸がキュ~ンとときめいた。
二人の毎朝はだいたいこの調子で、業を煮やしたアルフレッドがドンドンと扉を叩くまで続く。
市民が去ったのか、再び静寂が戻ってきた。
レイノルドは再び眠ってしまったようだ。
心地のよい静けさに、マリアの鼓動もだんだんと落ち着いて――。
「おい、レイノルド! 仕事が溜まっているんだぞ。いつまで寝ているんだ!」
うとうとしていたら、お決まりのようにアルフレッドが叫んだ。
ぱちりと目覚めたマリアは、同じように青い瞳をのぞかせたレイノルドと笑い合う。
「起きましょうか」
「そうしよう」
ベルを鳴らすと、アルフレッドが扉を開け、手に布や水を持った侍女たちが入ってくる。
新たな一日のはじまりだ。
市民に手を振ってカーテンを閉じたマリアは、真っ赤な顔で息をついた。
外に人の気配を感じて目が覚めて、夢うつつに寝台を下りてカーテンを開けたら、庭園観覧の市民に見つかってしまった。
化粧も着替えもしてない状態だが、うろたえて引っ込むよりはマシだろうと、その場で手を振った。
幸いにも、距離が遠かったので寝起きだとは気づかれなかったようだ。
振り向くと、天蓋のかかった豪華な寝台ではレイノルドが健やかに眠っている。
ここは王太子夫妻の寝室だ。
結婚式以降、マリアとレイノルドは逢えなかった時間を埋めるように、くっついて眠っていた。
マリアは寝台に腰かけて、レイノルドの寝顔を見つめる。
艶やかな長いまつ毛も、わずかに染まった白い頬も、すうすうと響く寝息の音も、すべてが愛しくてたまらない。
国王陛下の御前での大告白や、婚約や結婚式の準備をしている間、大聖堂で愛を誓いあった瞬間も喜びを感じたけれど、レイノルドと結ばれたと心から安心できるようになったのは、共寝をするようになってからだ。
(大の男性に言うことではないけれど、かわいい寝顔だわ)
幸せにひたりながら髪を撫でると、レイノルドは「んん」と声をもらした。
「……マリアヴェーラ?」
ゆっくりとまぶたが開き、青い瞳がマリアを捉える。
「起こして申し訳ありません。まだ起きるには早いですわ」
マリアはサイドテーブルに置いてある金のベルを見た。
起床のベルを鳴らしたら、待機している侍女や側近が朝の支度をしにやってくる。
二人の時間は強制終了だ。
朝食をともにした後は、レイノルドは仕事へ、マリアも妃の務めをこなし、夜まで離れ離れになる。
「そうか……」
低い声でつぶやいたレイノルドは、腕を伸ばしてマリアを引き寄せた。
「きゃっ?」
いきなりだったので小さな悲鳴が漏れた。
レイノルドは、自分の上に乗っかるマリアを、大事そうに両腕で抱きしめる。
「もう少し、一緒にいろ……」
かすれた声と頬をすり寄せる仕草は、大型犬が甘えてくるようで。
(かわいい……!)
マリアの胸がキュ~ンとときめいた。
二人の毎朝はだいたいこの調子で、業を煮やしたアルフレッドがドンドンと扉を叩くまで続く。
市民が去ったのか、再び静寂が戻ってきた。
レイノルドは再び眠ってしまったようだ。
心地のよい静けさに、マリアの鼓動もだんだんと落ち着いて――。
「おい、レイノルド! 仕事が溜まっているんだぞ。いつまで寝ているんだ!」
うとうとしていたら、お決まりのようにアルフレッドが叫んだ。
ぱちりと目覚めたマリアは、同じように青い瞳をのぞかせたレイノルドと笑い合う。
「起きましょうか」
「そうしよう」
ベルを鳴らすと、アルフレッドが扉を開け、手に布や水を持った侍女たちが入ってくる。
新たな一日のはじまりだ。


