7歳の侯爵夫人

13

『白い結婚』…、つまり、結婚しながら2人の間に夫婦関係が成り立たなかったということだ。
たしかにそれが離縁理由になると、聞いたことはある。

俺は、一瞬言葉を失った。
もうすぐ結婚して1年。
その間妻を放置して『白い結婚』を強いたのは俺の方だ。
コンスタンスは愕然とする俺を見て、僅かに目線を下げた。

「私では侯爵夫人としての一番の務め…、つまり、旦那様の跡継ぎを産んで差し上げることが出来ませんわ」

自嘲するように小さく笑う彼女に、目眩がする。
全て、全て俺のせいなのに。

非の打ち所がない完璧な貴婦人である彼女に勝手な苦手意識を持って、ずっと遠去けていたのは俺の方なのに。
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