7歳の侯爵夫人
ああ、なんということだろう。
コンスタンスと夫婦としてやり直したいと覚悟した途端、離縁を突きつけられるなんて。
そしてその全ての原因は不甲斐ない俺自身にあるなんて。

今の彼女の言葉からもわかるように、俺が彼女との離縁を拒むのは社交界で恥をかくからとか、持参金を返さなくてはならないからなどの理由と思われているのだろう。
それは、今までの俺の態度を見れば当然の思いだ。
それに、セリーヌからの手紙を読めば、俺の不貞を疑われても仕方がない内容なのだ。

だが、違う。
違うんだ、コンスタンス。
もう、セリーヌへの未練などこれっぽっちも無い。

金も爵位も関係ない。
俺はただ、貴女と本当の夫婦になりたいのだ。

だが、こんな1年も妻を放置していた俺が、今更何をどう言えば信じてもらえるというのだ。

白い結婚…。
1年以上の白い結婚が離縁理由になるというなら、そうでなくしてしまえばいいのか?
それなら、俺が今目の前の彼女をこのまま押し倒し、抱いてしまえばいいのか?

だが…。
そんなことをすれば、きっと彼女は生涯俺を軽蔑し、許さないだろう。
体で縛り付けたって、おそらく心は永遠に手に入らないだろう。
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