7歳の侯爵夫人
「待ってオレリアン。私の話を聞いて!」
「無駄だ」
俺は彼女の手を振り払う。

「オレリアン!」
しかし馬車に乗ろうとして、俺は足を止めた。
コンスタンスが馬車を降り、タラップの下に立っていたのだ。

「コンスタンス…」
俺がバツが悪そうに名を呼ぶと、彼女は困ったように微笑んだ。

「旦那様、ここは目立ちます。中に入ってお話を伺ってはいかがですか?」
「いや、その必要はない」
俺はコンスタンスを促して馬車に戻ろうとした。
セリーヌと話すことなど、本当に何も無いのだ。

だが、コンスタンスを目にしたセリーヌは今度は彼女の方に向かって叫んだ。

「あなたが無理矢理彼を夫にした女ね?オレリアンを返して!あなたはいらないでしょう?」
コンスタンスに掴みかからんばかりに向かおうとするセリーヌに、俺は迷うことなく、コンスタンスを庇うように立ち塞がった。
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