7歳の侯爵夫人

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王太子フィリップは、生まれてからの20年間、ずっと王族としての自覚と矜持を持って生きてきた。
常に国民の模範であれと己を律し、磨いてきたのである。
勉強も、剣術も、馬術も、全てにおいて優秀でなければいけないと思っていたし、事実、そうなるように人一倍努力もしてきた。

1つ年下のルーデル公爵令嬢コンスタンスと婚約したのは、フィリップが8歳になってすぐのことである。
ずっと王家を支える一番の忠臣で貴族筆頭のルーデル公爵の娘を妻に迎えることは、当然の成り行きだった。
それを見据えた上で両家の親は婚約前から2人を交流させていたし、所謂幼馴染のような関係であったから。

フィリップは、お転婆で好奇心旺盛で、でも優しくて可愛らしいこの幼馴染が好きだった。
だから、彼女と婚約したことはとても嬉しかった。
彼女となら、きっと末永く仲良くやっていけるだろうと。

2人は厳しい帝王教育とお妃教育の合間を縫って交流し、あたたかい関係を築いていった。
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