7歳の侯爵夫人
「斬るなら斬れ!女1人奪うために人殺しもするような愚かな王太子と知らしめたいならな!」
「貴様!!」

「待て」
激昂した騎士が本気で抜刀しそうなところを、フィリップが制した。

「ヒース侯爵、私の騎士がすまない。とりあえず今日のところは帰ろう。夜中に、すまなかった」
フィリップはオレリアンに謝罪すると、コンスタンスの方へ目を向けた。

相変わらず彼女はオレリアンに隠れるようにしながらこちらを伺っている。
怒鳴り声をあげて抜刀しそうになった護衛騎士に怯え、瞳いっぱいに涙を溜め、唇を震わせている。

「怖がらせて悪かったな、コニー」
フィリップが手を伸ばすと、オレリアンはまるで隠すようにコンスタンスを抱きしめた。

フィリップは宙に浮いた手を引っ込め、寂しそうに笑った。
そして踵を返すと、漸く部屋から出て行った。
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