7歳の侯爵夫人
結婚してからのコンスタンスの生活ぶりも、フィリップは知ろうとはしなかった。
わざと耳に入らないようにしていたと言った方がいいくらいに。
もちろん彼女の幸せを祈ってはいたが、その一方で、自分がいないところで幸せに暮らしている彼女を見たくないと思う気持ちもあった。

だが、噂とは嫌でも耳に入ってくるものである。
『ヒース侯爵夫妻の仲は冷え切っているらしいな』
『夫人を自領に閉じ込めたまま会いにも行かないらしい』
『高貴なお姫様だった夫人を煙たく思ってるんだろう。何せ下位貴族出身の騎士風情だからな』
『夫人は放っといて王都の邸で義母と同居してるらしいぞ。妖艶で、魔女みたいな女らしい』
『義母が夫人を追い出したって話もあるな』

色々噂は入ってくるが、フィリップは耳を塞いでいた。
自分が幸せにしたかったのに、出来なかった相手である。
しかも自分はもうすぐ結婚する身。
事実を知ったからと言って、一体何が出来るであろうか。
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