7歳の侯爵夫人

7

フィリップ王太子の母である現王妃は、コンスタンスをとても気に入っていた。
未来の王太子妃として期待を寄せ、また自分の息子の嫁というより実の娘のように可愛いがっていたのである。
だから婚約解消の時も、最後まで反対していたのは王妃であった。

王妃の希望が通らず2人の婚約がなくなった時、彼女は躍起になってコンスタンスの新しい結婚相手を探し始めた。
コンスタンスが憐れみや嘲笑の的になるなど許せないと、なんとかフィリップの婚約発表前に彼女の身の振り方を決めたかったからである。

一方フィリップは、そんな母の行動にも、コンスタンスの縁談の話にも、一切関わろうとしなかった。
やむを得ない事情とは言え別れた元婚約者の縁談に口を挟もうと思うほど、デリカシーのない男ではなかったのだ。

そうしてコンスタンスは婚約解消から僅か半年後に、王妃が仕立て上げたと言っても過言ではないヒース侯爵オレリアンという男に嫁いでいった。
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