7歳の侯爵夫人
「オレリアン、本当にすまない」
エリアスはもう一度、オレリアンに向かって頭を下げた。
今の状態では、しばらく彼を妹に会わせることは出来ないだろう。

だがオレリアンはそれを遮り、自分の方が深々と頭を下げた。
「いいえ、自業自得です。全て私のせいですから。私のせいなのに、あんなにコニーを苦しめてしまって…、本当に、私の方こそ申し訳ありません」
「違う、オレリアン…、頭を上げてくれ」
「しかし、元々事故にさえ遭わなければ…。いや、やはり最初から、私が…」

エリアスはオレリアンの肩に手を置いた。
これは、誰が悪いわけでもない。

あの事故は不幸な偶然だった。
あの日オレリアンは、夫婦関係を改善したくてコンスタンスを王都に連れ戻したと、今のエリアスは理解している。

事故の原因になった女はオレリアンの強い抗議で、夫の手で軟禁状態になっている。

コンスタンスを自領に置き去りにし、放置していたオレリアンを恨んでいた時もあったが、それもこの不器用な男が良かれと思ってしていたことだということも理解している。

婚約解消で傷ついたコンスタンスを王都から離し、また、未だに王太子を想っている妻を慮ってのことだったということも。
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