7歳の侯爵夫人
結局、三日間の眠りから目覚めた翌日には、コンスタンスは父から現実を知らされた。
自分が王太子の婚約者で15歳だと思い込んでいるコンスタンスはいつも通り王宮に行こうとしていたからだ。
午前中はお妃教育があり、午後は王妃様とのお茶会、そして夜はフィリップ王太子と食事会だと言って支度を命じるコンスタンスに、侍女たちは困惑した。

だが、困惑したのはコンスタンスもだった。
目覚めた時からたしかに違和感はあった。

最初に不思議に思ったのは、両親と兄、そして侍女たちが、眠る前より少し年上に見えること。

次に不思議に思ったのは、自分の手だ。
病的なほど細く青白かった手が、少しふっくらして、日に焼けているように見える。

自分の勘違いかとも思ったが、しかし、身支度を整えるため鏡の前に座ったコンスタンスは、やはりどうしようもない違和感を払拭することが出来なかった。
鏡に映る自分は、明らかに眠る前より成長していて、そして健康的に見えた。

コンスタンスはリアに詰め寄った。
自分は一体どうしてしまったのかと。

困ったリアはルーデル公爵に話し、結局、真実を伝えるに至ったのである。
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